俺、ようやく参上っ!

やっと、シナリオが一段落しました。


遥香「長かったですね」


遂に、俺は伝説に語られる、奇跡の一週間を越える、魔の一週間の新たな伝説を打ちたてた。
ちなみに奇跡の一週間っていうのは、
かなり昔に同人ゲーのシナリオ3キャラ分を一週間で書けという無茶苦茶な注文を受け、
それをマジで一週間で書き上げた伝説である。


遥香「むしろそこのサークルが、ギャラを一銭たりと払わずに逃げたことの方が伝説ですよね」


いや、それよりも人が必死で書いたシナリオを半分以上、むしろほとんど勝手に書き換えやがったことが伝説だ。
ギャラも勿論、貰ってないんだが、あれは単純に売り上げがなくて逃げたに違いない。


遥香「非道い話です」

遥香「ですが文章量では、明らかに奇跡の一週間の方が多いように見えますが?」


量より質が全然違う。
つーか、あちしビビったよ!
ラストの担当キャラが終わる寸前で、急に締め切りが一週間後になったのは!


遥香「普通、ビビりますね。何の前触れもありませんでしたから…」


さらにビビったね。
担当キャラ以外のエロシーンがまったく手付かずで回ってきたのは!


遥香「兄さん、既に緑茶のエロ担当になってます」


いってるだろ、エロは苦手なんだ。


遥香「いえ、全然説得力ありませんよ? 兄さんの文章は、通常シーンでも卑猥です」


なんやてっ!!


いや、つーか、書くこと自体はいいんだ。
だが、個人的に文章の流れで勢い任せに書くほうが楽っていうか。
特に闇夜のエルゼ自慰なんか、ノリノリで書いてたからな。
ああいう、ストーリーの展開上、必要不可欠とか、それがあることで引き立つ、みたいなのがやり易い。
エルゼ自慰は、エルゼの性癖の異常性を表現するのに、必要不可欠な要素だしな。


遥香「まあ、確かにエロゲーのエロシーンは、半分以上がとってつけたような理由から始まりますからね」


ああ、それならばまだ、敵に媚薬を盛られてどうしようもなくなったとか。
主人公の力が暴走しかかって、それを相殺する為にとか、
はたまた、地球的規模のプログラムに操られた妹を助ける為に、
無理矢理犯したら、妹が興奮しちゃって二回目に突入とか!
そういうのならば、ありだよな!


遥香「兄さん、気の所為か、最後になにやらどこかで聞き覚えのある展開があるのですが?」


キット、キノセイデスヨ?


遥香「しかし、そこまでエッチなのを否定してる兄さんが、何故にエロゲーライターなのかが不思議でなりません」


否定している訳ではない。
ただ単に、展開としてあり得ないようなのはどうかって、話だ。
普通、一般的な順序を考えてみなさい。


出会い→気になる→恋愛に発展→付き合い始める→エロス!


これが一般的な流れだ。
まあ、人によって違う部分もあるかも知れないが、大まかにはそうだろう
で、次が純愛系エロゲーの順序だが。


出会い頭にケンカ→あんたなんか嫌い→他の女の子と一緒にいると気になる
→トラブル発生→エロス→相手を好きだと認識→エンド


これがエロゲーの黄金率だ


遥香「に、兄さん、最初からおかしいです! 何故にツンデレ系!」


今は半分以上がこれで通用するのだ。
幼馴染み系だと、最初が友達以上恋人未満からスタートするが、後半はほぼ一緒だといえるだろう。


遥香「確かに、そうと言えなくはないですが…」


で、この順序でいえることは、一般は相手を好きになったから体を許している。
しかしエロゲーは、体を捧げたから好きになったというステキシステムで構成されているのだ!
これをエロゲーの方程式と言う。
次の試験に出るから、ちゃんとノートに取っておくように!


遥香「でないです! でないですか!」


まあ、これはこれで面白いが、昔の王道系が今では風前の灯火だ。
俺はそんな古き良き時代の伝道師として、超王道的なシナリオを所望する!


遥香「え? 片恋の香津美さんって、ある意味、王道ですよね? 幼馴染みで恋敵ありって」


や、かつみん、俺関わってないしな。
エロしか。


遥香「兄さんの所為で、香津美さんはエロい娘になってしまいました」


や、元々の設定から、そういう部分あったぞ。
そいや一通りシナリオ読むとさ、俺の担当キャラだけ、話しが物騒だよね。


遥香「物騒だから、兄さんに回したと言う説も」


残念なのが、血生臭いのがないことだ。


遥香「なくていいです!」


俺にしては珍しく、腕とか首とか、腸とがぶち撒けなかったよな。


遥香「腸はぶち撒けるものではないです、兄さん」


そういえば脳漿とかそういう単語も使ってないや。
道理で、疲れるはずだ。


遥香「兄さんは、一体どんな話を求めてるんですか…」


闇夜読めば、良く分かるだろう。
あ、でもさ。
個人的に、完全に純粋な学園物ってやってみたいと思うよ。
メインヒロインがいて、妹キャラがいて、委員長キャラがいて、何故かお金持ちで高飛車な子がいて、エロ担当は保健医ね!


遥香「わ、すっごい王道です!」


もしくは最近流行りのお嬢様モノでもいいぞ。
難攻不落なお嬢様を落せ!みたいなノリなやつ。


遥香「きっと、メインヒロインはツンデレか完璧超人のどちらかですね」


主人公はどうするよ? 女装?


遥香「パクりです!」


じゃあ、あれだ!


遥香「入学手続きが間違ったとか、先生として赴任とかもダメです!」


えー!
でもお嬢様学園に男を放り込める理由なんて少ないよー!


遥香「妥協して、お金持ち系の学校にでもすればいいじゃないですか」


や、貧乏な一般市民な主人公が、逆タマになるのが面白いんじゃないか!
最初から金持ちな主人公なんて嫌味なだけだぞ。
いや、ちょっと待て、案外面白いかもしれないぞ。
流行りの逆パターンでいくのだ。
大富豪の息子な主人公が、貧乏でごく普通の女の子を嫁にするストーリーだ。
どうだ、画期的だろ?


遥香「なさそうで、どっかでありそうな話でもありますよね」


メインヒロインは13人家族の長女で、超貧乏な!


遥香「急にあり得ない話になってきた! 兄さん、そういうのは好かないってついさっき言ってたんじゃ!」


こういうのは、限界まであり得ない話にすると、バカっぽくて面白くなってくるんだ。
あ、他のヒロインに自分の家のメイドとかありね。
しかも、相手は親父とか、兄貴の専属メイドなんだ。
ヤベぇ、ちょっと面白くなってきた。
企画書纏めようかな?


遥香「そんな自分だけが楽しい企画書じゃ、通りませんって…」


何事もやってみなきゃ分からんぞ!
ということで、せっかくだからこの企画を纏めて見ることにするぜ!


遥香「勢い任せが好きな兄さんです、はぁ」