戦友(とも)の死を乗り越えて…

竹内の死に、佐藤小隊の士気は著しく低下していた。


遥香「まあ、普通低下しますよね…」


しかしヤツは二度も同じ死に方をするとは…。
しかも、一回目は俺が操作してての不慮の事故だったのにな。


遥香「兄さんは、指示の出し方が曖昧なんです。もっと的確に、且つ確実に敵を減らすようにしないと」


とりあえず、竹内の戦死の所為で減少した士気を奮い立たせるために提案を使うぞ。


遥香「いい考えです」


佐藤「みんながんばろう!」
全員「イヤ」


なんやてっ!


遥香「まあ、小隊長とは名ばかりの単独行動で任務をこなす人に命令されても…」


なんてこった。
竹内の戦死がここまで後を引き摺るなんて!?


遥香「そもそも、人の提案を無視して単独で訓練する小隊長がどこにいますか!」


そうだな。
これからは、訓練に誘われたら一緒にやることにしよう。


遥香「兄さん、真央さんがお弁当を作ってきました」


その現場を、横山に見られたぞ。
しかも、何故か怒ってる。


遥香「どうやら、無節操にいろんな人と行動しているうちに、横山さんの愛情値が上がっていたようです」


急いでなだめにいくぞ!
適当にプレゼントでも渡して見るか…。


佐藤「ほら、これ佐藤の靴下、欲しかったんだろ?」
横山「お断りします」


遥香「に、兄さんっ!」


しまった!
なだめるつもりが、信頼まで失ってしまったぞ!?


遥香「あたり前です!?」


いろいろやってたら、何とかなだめられたようだ。
人気が出るのも困ったものだ。
きっと横山は、竹内の戦死で人が変わったようにみんなと接するようになった佐藤が心配だったのだろう。


遥香「変な設定を作らないでください」


いや、もともとガンパレって、そういうロールプレイ的な部分が楽しいんだぞ?
折角だから、そんな横山に惹かれていく佐藤を演じることにしよう。


遥香「何が折角なのか、さっぱりです」


そして次第に惹かれあう二人は、公衆の面前で抱き会うのであった。


遥香「それは兄さんが、近付いていいか→抱き締めるのコンボを市街地でやるからです!」


そして自宅に戻って、ニヤニヤと妄想をする佐藤。
変態だな。


遥香「それも兄さんが、そんなコマンドを選択するからです!」


そういうコマンドがあるから仕方がない。
でもよ、このコマンド…。
教室の横山の机の前でやって見たら、教室の中にいたのに遅刻になったぞ?


遥香「時間経過系コマンドですからね。経過してる時間の間はどのエリアにもいない扱いっぽいです」


個人的には先生が横山の机で良からぬことを考えていた佐藤に気付き、それを諌める為に遅刻扱いにしたんだと…。


遥香「良からぬことを考えてるのは兄さんの方です」


そんなこんなで二人の関係は進む一方で、戦況も何とか有利まで持ち込んだぞ。


遥香「ようやく装備も整ってきて、幻獣ともまともに戦えるようになりましたね」


佐藤は相変わらず、ナイフで切り込むがな。


遥香「そのうち、佐藤さんまで戦死しますよっ!」


大丈夫だ。
佐藤は切り込み隊長兼偵察だからな。
小型幻獣はナイフで斬り捨て、大型幻獣は機関銃で弾幕を張りつつ戦車に攻撃させる。
これが佐藤小隊の戦法だ。


遥香「普通、偵察兵って森とかで隠れながら、敵の位置を味方に教えるのが仕事じゃ…」


佐藤は突撃兵が本業だ。
偵察はもののついで。


遥香「そんなこんなで1月1日になりました。一月戦い抜きましたね」


ファーストプレイは1月の前半で戦死したからな…。
ここいらで、気を引き締めねば!


遥香「なにやらラブ臭を漂わせながら、横山さんが初詣に誘ってきました」


無論、佐藤は誘いに乗った。
そして神社で賽銭を投入し、願い事を…。


佐藤「部下の安全を」


なんて優しいヤツなんだ。
戦友の死が堪えたんだろうな…。


遥香「だから、勝手に設定を…」


横山に何をお願いしたのか聞かれるが、佐藤はあいまいに答えるのであった…。


遥香「何故、そこで微妙に本心を悟られたくないみたいなロールプレイを…」


いよいよ、幻獣の戦力も固いのやら、飛んでるのやらが増えてきた。
飛んでる敵にはナイフが届かない所為か、佐藤の活躍の場が減っていく。


遥香「いよいよ、ナイフも役立たずですね」


小型幻獣が少なくなってきたからな。
仕方ない。
佐藤の主武装を機関銃二挺拳銃だ!


遥香「意味ありませんっ!」


突撃銃は弾幕張れないし、前に陳情したら緒戦で故障した所為かどうも気に入らん。


遥香「何かいい方法は?」


やはりここは烈火だな。
突撃兵用大型ウォードレスだ。
こいつには専用武器が付いている。
白兵Lv3の佐藤向きだ。
だが…。


遥香「だが?」


横山とのラブラブ作戦に発言力使い果たした!


遥香「兄さん、発言力は極力戦闘系に使うべきです」


仕方ない、ここは裏技で発言力を増やすぜ!


遥香「裏技?」


おーい、ペンギーン!


ペンギン「さあ、金を出せ。レートは1:100だ」


遥香「裏取引?!」


ふふっ、佐藤は前半ハードボイルドペンギンとだけ交流してたのさ。


遥香「佐藤さん、なんて寂しい人なんでしょう」


有り金叩いたけど、対して増えなかった。
こんなの飯食って訓練誘ったらスッカラカンではないか!?


遥香「普通に戦闘で稼げと言うことですね」


仕方ない。初期装備の突撃銃と機関銃で頑張るか…。


遥香「体力、気力、運動力はさすがに序盤上げまくったので200オーバーですし、何とかなるかと…」


む?
遥香、見ろ!
遂に!


遥香「え?」


告白コマンドが出たぞッ!?


遥香「随分と掛かりましたね。ファーストプレイの時はクリスマス後に出ましたよね?」


まあ、序盤はペンギンプレイだったしな


遥香「はは…」


ラブラブ絶好調な二人は、遂に一緒に帰るようになり…。
しまいには話しの続きがしたいと称し、横山を自宅に連れ込む。


遥香「だから、それは兄さんが…」


朝起きたら、まだいる横山。
しかも台所でお弁当を作っていたらしい。


横山「こ、これ、受け取って!」
お弁当らしきものを受け取った!
佐藤「ありがとう」<満面の笑み


遥香「らしきもの?」


説明書きに食べるなって書いてある。
………。


遥香「って、貰ったそばから捨ててるぅー!?」


さすが、佐藤。


遥香「兄さんです!」


そもそも、家事Lv0の横山がお弁当を作れるわけがない。
次の日家に迎えに来た横山は案の定、さしだしたのはお弁当ではなくサンドイッチだった。


遥香「捨てられたのがショックだったのでしょう」


そこで、質素なお弁当じゃなくて、サンドイッチなのは乙女心です。


遥香「まあ、質素なお弁当は実質、日の丸弁当ですから…」


二人のラブパワーの所為か、次第に戦況は優勢になっていく。
そして遂に佐藤は準竜師にまで昇りつめる。
倒した幻獣の数は120を越えるのであった。


遥香「って、突撃兵でなんでそんなに倒してるんですか!」


慣れると機関銃でも中型幻獣も倒せるぞ?


遥香「そんなバカな…」


お陰で発言力ガッポだ。
へちょい装備で勝つと上層部がいっぱい褒めてくれるからな。


そして遂に、2月14日…。


──今日はバレンタインデーだ。
──誰かにチョコを贈る?


待て待て待てッ!
佐藤はだぞ?


遥香「大丈夫ですよ。女の子が女の子にチョコを送るのがあたり前の時代ですから…」


一体どこのリリアンだ!
そもそも、貰う立場だったからチョコなんて用意してねえ!
佐藤はチョコがなかったので贈る相手がいない。
そうこうしてると、イベント発生。


遥香「横山さん、チョコ作れたんですね…」


酷いな、君。
確かに特製チョコなんて高レベルなもの、一体どうやって作ったのか不思議だが…。


佐藤はそんな甘い気の緩みの所為か、次の日の出撃で重体になった。


遥香「よく死亡判定出ませんでしたね」


気力が高いからな。
しかし、病院から戻ってきたら、ギリギリ優勢な戦況。
しかも、病院送りになった戦闘の際に、改造したハウリングフォックスが破棄されてる。
ここは溜まった発言力で烈火を陳情だ!


遥香「兄さん、何やらきな臭いです!」


ん?


遥香「一日を終了するを押したら、エンディングテロップが流れました!?」


ぶっ!
春までだっていうから、てっきり3月まであると思ったが、2月一杯で終わりか?!


遥香「どうやらその後、佐藤さんと横山さんはラブラブのようです」


お、俺の烈火がぁあ!
使いたかったのにぃい!?


遥香「まあ、まだやることはいっぱいですから…」


そうだな。
ようやくクリアデータがらせん2周に変わった。
これからが本当に2周目だな。


遥香「兄さん、キャラを変えてプレイです」


そうだな、次は…。
ファーストプレイ時のカップリングを逆の立場でやってみよう。


遥香「えっと逆という事は、百華さんと竹内さんになるんですね」


どうやら、二周目からはヒーロー、ヒロインを選択出来るようだ。
しかも戦闘メンバーも選べるぞ。
だけど、とりあえずヒーロー工藤百華、ヒロイン竹内優斗で、後はランダムに設定。


さあ、新しいガンオケの開始だ!


この時は、氷雨こうじ自身もまったく予想しない結末になるとは思いもしなかったのである。